コンビニがもっと楽しくなる!様々な食のプロにコンビニの活用方法を聞く「食べるがもっと楽しくなる!コンビニ120%活用術」。
今回はアイス評論家のアイスマン福留さん。TBS系バラエティ番組『マツコの知らない世界』に出演して、そのマニアぶりを世に知らしめたアイスマン福留さんに、コンビニアイスの魅力やメーカーの企業努力、アイスの選び方までたっぷりお話を伺いました!

アイスマン福留さん。事務所の背後にはアイスのパッケージが山積みに
ブログスタートから「マツコの知らない世界」に行くまで
─公式サイト「コンビニアイスマニア」は2010年から始められていますね。
アイスマン福留さん(以下、アイスマン福留):アイスを少し深堀りして、メーカーやカロリー別で分けて自分のコレクションとしてやってみたら面白いかな、という感じでアイスの情報発信をブログで始めたんです。
それからしばらくしてパッケージを集め始めました。でも、もともと僕も「いちアイス好き」で、皆さんと全く変わらない楽しみ方をしているんです。
―「コンビニアイスマニア」というネーミングの理由は?
アイスマン福留:近所のコンビニで買えば専門店などを食べ歩きしなくていいのでこの名前にしたんです(笑)。
ブログを始めた頃って、コンビニスイーツやアイスなんて、テレビで特集されることなんてなかったんですよ。雑誌の『hanako』で“スイーツと私”みたいな……。
ファッションやお洒落の一環でとらえられていて、コンビニスイーツやアイスはあまりフィーチャーされていなかったんですよね。
アイスマン福留:それがブログで紹介しているうちに、メディアから問い合わせをいただくようになって、メディアの方でもコンビニ商品は「引きが強い」という流れになって。高級なスイーツよりも身近なコンビニスイーツやアイスが盛り上がる、という流れができてきたのかなと思いますね。
マツコさんの番組(TBS系『マツコの知らない世界』)に出演した当時は、“~マニア”みたいな人は今みたいにあまりいなくて。今はアイスだけで食べさせてもらっていますけど、アイスを仕事にするなんて当時は全然考えてませんでした。
─アイスのパッケージ、山積みですね。
アイスマン福留:(事務所の箱を見ながら)ここにあるのは最近食べたごく一部だけで、別で倉庫を借りて保管してます。

倉庫に保管されているアイスパッケージ(写真提供:アイスマン福留さん)
アイスをとりまく昔と今
─公式サイトの名前通り、アイスとの接点はやはりコンビニのほうが大きいですよね。
アイスマン福留:そうですね。今は高価格帯のアイスクリームが売れているのは断トツでコンビニです。
─今のトレンドでいうと“ブランドとのコラボ”が大きいでしょうか?
アイスマン福留:確実にそうですね。ロッテ「雪見だいふく」が桔梗屋さんや石村萬盛堂さん、八天堂さんとコラボしたり、セブンイレブンがチョコレートバンクとコラボしたり。全体的にそういう流れになってますよね。
─メーカーがコンビニとコラボすることによって消費者との接点がより近くなっているんですね。
アイスマン福留:コンビニって今は売り場としてかなり強いですけど、昔はあんまりメーカーに相手にされてなかったんですよ。
新しい売り場ではありましたけど、スーパーマーケットのほうが主流だったので。そこで取り扱わせてくださいと言っても、メーカーからしたら「売れるの?」という感じだったんですよね。
その後、コンビニ各社が差別化をするためにPB商品や専売商品をどんどん作っていくというところで、メーカーさんが自分のブランドのNB商品を置くのはもちろんのこと、コンビニ限定ものも作っていく、という流れができたんです。
フローズンは「アイス」じゃない!?
―コンビニ各社の特徴を教えてください
アイスマン福留:セブンイレブンは蓋のない透明な冷凍ケースを導入したり、レジで並んでる人がすぐに取れるところにアイスを置いたり。そういうところに最初に力を入れていました。だからアイスを売る力はすごく強いです。
あと、チョコミントも出してる品数が半端じゃなかったので、チョコミントブームもセブンイレブンが火をつけたなと感じましたね。
─コンビニアイスの中でもセブンイレブンはトレンドをつくっていってるんですね。
アイスマン福留:冬の寒い時期に“冬アイス”のテレビCMを初めて打ったりしたのもセブンさんです。そういうトレンドメーカー的なところはありますね。
─ローソンはどうでしょう?
アイスマン福留:「ウチカフェ」シリーズのスイーツとの組合せが特徴です。
ちょっと前に流行ったピスタチオだけでも、スイーツのほかにアイスバー、アイスサンド、カップアイスを出してシリーズ化してましたね。
今だとアーモンドとヘーゼルナッツを出して“ナッツ”をシリーズ化してうまく見せています。コラボ商品も出すし、人気のものをうまくカテゴライズして商品をどんどん出していくところがローソンは強いですね。
─ファミリーマートはどうですか?
アイスマン福留:「たべる牧場」シリーズと「フラッペ」は強いですね。あと、2014年に多くの店舗に冷凍ケースを導入して売り場面積を拡大させたことが印象的でした。大人から子供まで、高級なものからお手頃なものまでを幅広く揃えてるという印象です。
赤城 たべる牧場ミルク

みんなの総合評価:4.54
小吉22さん
ミニストップは独特で、ソフトクリームやハロハロなど、レジ前のメニューが充実してますね。最近はフローズンスイーツという括りで展開してますね。アイスではなく、フローズンケーキのように洋菓子を凍らせたり。
僕は“アイスクリーム類”にこだわりを持っているのであまり認めてないんですが(笑)、そっちに舵をきったなというのは感じましたね。
─ちなみにファミマのフラッペ、氷の配合は赤城乳業が請け負ってます。
アイスマン福留:ガリガリ君のイメージが強いですけど、赤城乳業はコンビニ各社からの様々なリクエストに応えて商品づくりをしていくうちに、どんどん技術力が上がって、今はコンビニ側が赤城乳業なしでは成り立たないくらいの感じになってますよ。

フラッペだと赤城乳業と「サクレレモン」でおなじみのフタバ食品が「2強」といったところです。
2022年はナッツ系がブーム?
─コンビニ商品、アイスも入れ替わりが激しいです。
アイスマン福留:ここ10年のアイスクリームの進化が半端じゃないですね。僕が小さい頃は10年くらい価格がずっと変わっていなかったんですよ。だいたい1個120円くらいまでだったんですが、原料や資材の高騰もひとつの理由ですが、ここ10年くらいで価格も大人向けの商品が一気に増えましたね。
アイスクリーム業界はここ10年くらいで1000億くらい売り上げが増えてるんですが、数ではなくて単価が高くなってるんですよ。
アイス自体のクオリティももちろん上がってますし、美味しければお金を出すという人も増えてきてるなと実感しますね。
─今年注目の商品は?
アイスマン福留:赤城乳業で最近気になっているのが、お菓子の原料系の商品。「バターをそのままかじったら」という発想の「かじるバターアイス」、赤城乳業らしくて素晴らしいと思います。「ホイップクリームアイスバー」もアイス好きやスイーツ好きの気持ちをうまくついてきますよね。

ロッテも練乳をそのまま飲む「やみつき練乳」を出してますけど、背徳感のある商品が増えてきてると感じますね。そのうち「かじるピーナツバター」とかも出るんじゃないかと予想しています(笑)。
あとはナッツですね。「ピノ」もアーモンド味が出て話題になりましたし、最近はヘーゼルナッツが出てきてるので「ナッツ系」のフレーバーはまだまだ続く気がします。
─コンビニアイスを楽しむコツは?
アイスマン福留:メーカーがもつ得意分野を見ていくと、これは間違いないなというポイントが分かってくるかもしれないですね。
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アイスマン福留(あいすまんふくとめ) プロフィール
東京都足立区出身。年間に食べるアイスの数は1000種類以上。2010年からコンビニアイス評論家として活動を開始。2014年、アイスクリームの全ジャンル(ソフトクリーム、かき氷、ご当地アイス、業務用アイス、アイスクリームショップなど)を盛り上げていくことを目的に一般社団法人 日本アイスマニア協会を設立。著書『日本懐かしアイス大全』(辰巳出版)。