コンビニがもっと楽しくなる!
様々な食のプロにコンビニの活用方法を聞く「食べるがもっと楽しくなる!コンビニ120%活用術」。
今回は料理研究家のジョーさん。に、学生時代から今までのコンビニ活用方法から、料理が苦手な人向けのアドバイスまで、たっぷりお話を伺いました!

料理研究家・ジョーさん。
自分ご褒美だった「ファミチキ」
―ジョーさん。とコンビニとの関わり方を教えてください。
ジョーさん。:僕は横浜の出身なんですが、当時の横浜市は中学校に給食がなくて(※)お弁当だったんです。
両親共働きだったので、母が週1回“買い食いの日” というのを決めて、弁当代500円をくれたんですよ。ちょうど地元の小さなスーパーがセブンイレブンになったばかりで、「美味しいパンがあるぞ」と喜んで買いに行った覚えがあります。
コンビニでお弁当を買うと500円を超えてきちゃうので、ボリューム感のあるパンがメインでした。
※現在は市が提供するデリバリー型の給食も選択可能。
―では一番使っていたコンビニはセブンイレブンですか?
ジョーさん。:そうですね。近所のコンビニで店員さんが清潔感あって店内もきれいだったのはセブンイレブンだったので、ずいぶんお世話になってましたね。
店員さんの制服の下から見えるジーンズが汚かったりすると、その人にホットフードをとってもらうとなると「おっ……」ってなるじゃないですか(笑)。
ホットフードといえば、大学在学中は「ファミチキ」が思い出の品です。
大学は文学部に在籍していたんですが、いいレポートが書けたときなんかは最寄のファミマに行って、友達はお酒、僕はファミチキを買ってお祝いしていてました。
当時「スパイシーチキン」が115円くらいで、ファミチキのほうが高いんですよね。だから自分へのご褒美は「ファミチキ」。学食はありましたけど、ちょっと美味しいものが食べたいっていうときにはホットフードを食べてました。
「うまいコンビニご飯」の舞台裏
―社会人になってからのコンビニの使い方は?
ジョーさん。:毎日寄ってましたね。料理研究家になる前はメーカーの営業マンだったんですが、その時からコンビニで買ったものをアレンジしていたんですよ。
炒飯とフカヒレスープに少しとろみをつけて餡かけにするとか、コンビニの組み合せで変化をつけることを当時からやっていて、それが今に活かされている気がしますね。
―その時からコンビニの食べ比べはしていましたか?
ジョーさん。:メーカー営業を経験したあと、26歳の頃に今の料理研究家に近い業種で働き始めて、その時は大手3社の食べ比べをいっぱいしました。
実はコンビニの商品の違いって、コンビニ各社というより請け負っている工場の実力がすごく大きいんですよ。
茨城にある工場の社長さんと知り合いになったんですが、その方がすごく誇りをもってやっていらして、セブンイレブンに自分から提案してメロンパン作ったりしてるんだ、という話をされていたんです。
茨城から千葉の一部までの商品をその工場がカバーしていて、実際に別工場の商品と食べ比べたら全然味が違う。
…かなりマニアックな話ですが(笑)。

コンビニ商品、工場が違うと同じものでも「全然味が違う」(ジョーさん。)ことも
―それは注意して食べていないと分からないですね。
ジョーさん。:もちろんコンビニ各社も頑張っています。例えば縦長カップの「きつねうどん」ひとつとっても、コストダウンのために大きなお揚げをカットするのか、はたまたカップのサイズに合うような小さなお揚げを1枚入れるのか。1つの商品専用のお揚げ1個作ろうとすると、価格が高くなるんです。
小さいことなんですが、こうしたところもコンビニ各社のこだわりが見えるところですね。
コンビニ3社の推しどころ
―他に各社で差が出ていると思う商品はありますか?
ジョーさん。:スイーツなんかは、どの層に向けて作ってるのかなというのが3社とも明確に出ていてでわかりやすいですね。
ローソンの「Uchicafe」は、小さくて値段が高いんですけどレベルも高い。OLさんが喜びそうな感じです。マカロンを食べたときは、専門店と遜色なくてビックリしました。
セブンイレブンは値段が高いんですけどクオリティーも高いです。サイズ、最近は小さくなってきてるので、もうちょっと頑張ってほしい(笑)。ファミリーマートはオムレットが若干大きめのサイズになっていて、若い人向けの印象です。

個人的には、最近ローソンがすごく好きです。プリンひとつとってみても味わいが一番繊細。バニラの香りがしっかりしてるし、くちどけがよかったり、コンビニスイーツにしては甘さ控えめだったり。大人むけだなという印象ですね。
―「おぼれクリームのパンケーキ」も生クリームがいいですね。
ジョーさん。:そうなんですよ。ローソンは動物性油脂の香りがする生クリームを使っているんですよ。
普通は酸化して香りが悪くなるんですけど、どういうわけか、ちゃんと「生クリーム」のいい香りがする。あれはすごいです。

―スイーツ以外はどうでしょう。
ジョーさん。:常温品、冷凍食品になってくるとセブンイレブンが圧倒的に美味しいなと思いますね。特に冷食は強いですね。
―今まで食べたコンビニ商品のなかでこれは凄い!と思った商品はありますか?
ジョーさん。:セブンイレブンの「金のハンバーグ」です。ふかふかで柔らかくてお肉のジューシー感もある、すごいなあと思いますね。「金のビーフシチュー」もすごいですね。目隠しして出されて格付けチェックしたら、僕は高級店だと思っちゃいますね。
各社すごいのが冷蔵の「エビチリ」です。レベルが高くてびっくりしちゃいます。
あと、ファミマの「グリーンカレー」(チルド)が美味しかったです。
グリーンカレーって、ココナッツミルクの風味がしないと美味しくないんですよ。でもココナッツミルクって高くて、多く入れようとすると価格が高くなっちゃう。
ファミマのグリーンカレーはココナッツミルクで美味しいと思わせるのはやめているんです。レモングラスなどのエスニックらしいハーブの香りで作っている。本来的にはグリーンカレーではないのですが、これはこれで美味しいぞ、っていうスパイシーなカレーになっているんです。
―オリジナルなカレーとして美味しいわけですね(笑)。
ジョーさん。:スパイスの配合の妙で、コストに対してすごく美味しい仕上がりになっているのが努力だな、と思って感心したんですよね。
―普通に食べていたら分からないですね。
ジョーさん。:セブンイレブンの「蒙古タンメン」(カップ)は美味しい。あれは辛さを下手に抑えていないところがいいですよね。風味とか味とかも本物に近い再現度でびっくりしましたね。
―コンビニにあったらいいな、という商品はありますか?
ジョーさん。:バリスタの友人と話していたんですが、中規模くらいで美味しい豆をいっぱい輸入できる会社と、コンビニががっつり組む。そしてちゃんとした品質管理をしながら、300円くらいのクオリティーの高いコーヒーを出してもらいですね。それをしたらバリスタはいらない、という話になっちゃいましたけど(笑)。
料理は油3種、だし3種あればできる!
―料理が苦手な方用にとレシピを出されてると思いますが、冷蔵庫にある食材で適当に作るコツはありますか?
ジョーさん。:僕みたいな、簡単な料理を紹介している人間は特に難しいことはしていなんです。
油…3種類(ごま油、オリーブオイル、バター)
だし…3種類(和風顆粒だし、鶏がらスープの素、コンソメ)
これの組合せで和洋中を決めるだけなんですよ。
結局「だし」って、「味の素」に“和っぽい香り”をつけるのか、“鶏ガラっぽい香り”をつけるか、っていうだけのことなんです。
豚肉に対して、オリーブオイルで焼いてコンソメで味をつけて、っていうことを一回頭に置いちゃうんですよ。これに合う食材ってなんだろう? 牛乳、トマトジュース、他の野菜入れようか? みたいな。
ご家庭で豚肉をありもので料理するとして、白菜があればまず和風か中華となると思います。白菜に豚肉を合わせるなら「まあ中華でしょ」となりますよね。
まずは炒めてしまってから、鶏ガラとごま油入れたら「それっぽい感じ」になるんです(笑)。
手順としては、
1.「あまり食材」と、もう一つ食材を決める
2.それを中華、和風、洋風にするか決める
3.だし、油をどれにするかを決める
という流れです。
なので、手元にだしがない人は、とりあえず和洋中のだし3つ買ってください(笑)。
―ちなみに2022年の注目商品(食材)はありますか?
ジョーさん。:米大手スーパー・ホールフーズの2022年の食のトレンド予測で“柚子”がくるのではないかという話が出ています。
今年はコンビニでもちょっとこだわった柚子の商品とかが出てくるんじゃないかな。
―最後にコンビニに期待することを教えてください。
ジョーさん。:食のことじゃないんですけど、セルフレジがどんどん使いやすくなっているのが嬉しいです。会話がないと寂しいと思われる方もいるでしょうけども、僕みたいにあんまり人としゃべりたくないっていう人には助かります(笑)。
こういった改善をどんどん進めてほしいです。
ジョーさん。 プロフィール
世界に一つでも多くの幸せな食卓を作り出すために、料理研究家として活動。 Webで”バズる”企画を得意とし、Twitterで投稿した“春巻きの皮クレープ”、“アスパラのバターごはん”が20万いいね!を獲得、テレビなど各メディアで注目を集める。