
ニューヨークのスーパーの、カップヌードル(画面右下付近)が売られている棚(撮影:安部かすみ)
世界各国のお買い物事情と現地の日本商品を紹介する「世界の果てまでカッテミル」。今回はニューヨーク在住のライター・安部かすみさんに現地のカップヌードルを紹介してもらいました!
ニューヨークでも、原点はカップヌードル
「スターバックスは世界中どこに行ってもあり、メニューも味も統一化されているので安心する」というのは旅慣れた方からよく聞く言葉です。まったく見知らぬ現地の飲食物と違い、何人(ナニジン)にとっても「馴染みのある味」だからではないでしょうか。
私はニューヨークに移住して16年経ちますが、はじめのころ、近所のスーパーでカップラーメンを見つけたときは何とも心強く思ったものです。
私にとってカップラーメンの記憶は、小学生のころに遡ります。
母親が食に厳しかったため家でインスタントラーメンを出された記憶がないのですが、当時参加したサマーキャンプの夜食でカップラーメンが出され、人生で初めて食べる機会がありました(それは日清カップヌードルでした)。
「なんて、おいしい食べ物なんだ!」とびっくりしたのを、今でも覚えています。
日本では、一風堂やすみれなど全国の有名店が監修した「グルメ系カップラーメン」も販売されていて、カップラーメンは一層人気だと思いますが、私にとってカップラーメンはいつまでも「原点」の日清カップヌードルです。だからニューヨークで見つけたとき、本当にうれしかったです。
ニューヨーク、カップヌードルは「MSG」抜きが人気
日清カップヌードル(以下カップヌードル)がどのようにローカライズして販売されているのかご紹介します。
まずニューヨークのスーパーでよく見かける味の種類は、ビーフ、チキン、エビ、テリヤキチンなどで、辛いもの好きなニューヨーカーに合わせてスパイシーチリチキンなんかも売られています。

カップヌードルは1個59セント(67円程度)で販売されている。右下にあるのは「Maruchan(マルちゃん)」の商品(撮影:安部かすみ)
このスーパーでは1個59セント(約67円)、3個入り1.79ドル(約203円)で販売されていました。
製造は、カリフォルニアの「Nissin Foods (USA) Co, Inc.」。
アメリカのカップヌードルの大きな特徴は、化学調味料である「MSG」が苦手な人が多いアメリカ人に合わせて、カップヌードルもMSGが使われていないことです。食べてみるとわかりますが、日本のものと比べてやや味気ないというか、味になんとなくパンチがない印象です。
パッケージには、目立つように「No Artificial Flavors No Added MSG」(人口の味付けをしていない。MSG添加なし」とうたわれています。つまりこれがアメリカでは大きな「売り」なのです。
また、インスタント食品に限らずアメリカで販売されている加工食品全体の特徴は、FDA(米国食品医薬品局)によるNutrition Facts(栄養素)が細かく記載されていること。
例えば、1個完食した場合の摂取カロリーや、1日の摂取カロリーを2,000とした場合の何パーセントがこの食品から摂取できるかの数値がリスト化されているんです。

アメリカのカップヌードル栄養成分表示。「ナトリウムやコレステロール、1日の必要量のうちこのくらいの割合で入っているよ」というのがリスト化されている(撮影:安部かすみ)
特にアメリカ人がよく気にするのはTrans Fat(トランス脂肪酸)、Cholesterol(コレステロール)、Sodium(ナトリウム)、Protein(プロテイン)あたりです(もちろん人によって気になるポイントは異なりますが)。
日系スーパーで売られているものが、やっぱりおいしい
ニューヨークには、日本の食材を販売する日系スーパーがいくつかあるので、そちらものぞいてみました。
カップヌードル、ありました、ありました!
でも、米系スーパーで見たのとやや違います。味は、シーフード味とカレー味のみ。
パッケージデザインも違います。日本語で「シーフードヌードル」「カレー」と書かれています(そのほかはすべて英語表記)。

日系スーパーにあったシーフードヌードル。ここでも大きく「NO ADDED MSG(MSG添加なし)」の文字(撮影:安部かすみ)
サイズはやや大きく76グラム(米系スーパーで見たものは64グラムでした)、日系スーパーで売られているものはなぜかむき出しで、薄い透明のラップ包装も紙包装もありません。
そして容器自体に厚みと重みがあり、触った感じも米系で見たものよりやや高級感があります。
また日系スーパーのものには、「No MSG」表記のほかにも「#1 Seafood Instant Noodles In Japan」(日本でナンバー1のシーフードインスタントヌードル)「Loved by the Japanese for over 30 years!」(日本人に30年以上愛されている)と大きく書かれていました。
シーフード味を試食してみました。米系スーパーで売られているような味気ないビーフやチキン味と違って、具も多く、スープもマイルドでクリーミーで「旨味」がありました。
海外でカップヌードルを購入する際、日系スーパーがあればそちらで購入する方がよさそうです。ご参考までに!
アメリカ人は電子レンジでチン!
最後に、作り方と食べ方の違いです。
私の友人のママは日本食を(というか、アメリカンフード以外はどんなものも)一切食べないのに、カップヌードルだけは例外です。
彼女の食べ方はとても豪快! カップヌードルの蓋を開けて水を入れ、電子レンジで3分間チンして食べます。初めて見たときは「これがアメリカンスタイルだ!」と驚きました。
ニューヨーカーはここ15年ほどで箸使いがずいぶんとうまくなりましたが、郊外に住んでいる年配の方などはやはりお箸がうまく使えません。カップヌードルもフォークを使って、麺をパスタのように絡めて食べます。
そういえばパッケージの写真も、米系スーパーで見たカップヌードルには麺が絡まったフォークの写真が入っています!

「照り焼きチキン」味(撮影:安部かすみ)
アメリカで使われているクチコミサイトは?
ニューヨークでも、商品を購入する際クチコミサイトが参考にされることがあります。一番王道なのは、アマゾン(Amazon)、そして最近勢いがあるのはジェット(jet)などのレビューでしょう。いずれもECサイトで、利用客が購入する際の判断基準として、利用されています。
インフルエンスター(Influenster)も商品についての評価サイトで、メンバー同士で商品に関する質問をしたり答えたり、写真を投稿したり、新製品に関する情報を共有したりできます。
アンケートに答えたり、SNSとインフルエンスターとつなげるなどいくつかの条件がありますが、インフルエンスターに選ばれた人はVoxBoxという無料の商品詰め合わせをもらえたりもします。
【アメリカ】インフルエンスターに投稿された「カップヌードル」のクチコミ
【日本】カッテミルに投稿された「カップヌードル」のクチコミ
安部かすみ…在外ジャーナリスト協会「Global Press」会員。Yahoo!ニュース個人オーサー。2002年ニューヨークに移住。2007年より在ニューヨーク出版社に勤務しシニアエディター職を経て、2014年に退職し独立。2018年初の著書『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ(旅のヒントBOOK)』(イカロス出版)を刊行。
次回は11月30日、ミャンマーから「だしの素」の紹介です!