
ミャンマーのビール、最近はキリンの「KIRIN ICHIBAN」が人気 撮影:板坂真季
一番搾り、ミャンマーに登場
飲ん兵衛の私が2013年にミャンマー移住を検討した際、大きな決め手となったのがビールの味でした。当時、ミャンマーで圧倒的シェアを誇っていたミャンマービールは、厚みのある濃厚な味わいが実においしいビールだったのです。

左からミャンマープレミアム、ミャンマービール、キリンイチバン 撮影:板坂真季
2015年になると日本のキリンが、ミャンマービールを製造するミャンマーブリュワリーを買収。ほどなくして、キリン一番搾りをミャンマー向けにローカライズさせて売り出しました。その名も「キリンイチバン」。日本在住時もキリン派だった身には僥倖でした。
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発売が発表になったものの、当初は飲食店優先で小売店の店頭には並びませんでした。そのため毎日のように「そろそろ買えるのでは」と、スーパーのビール棚へ日参。手に入った日には帰るなり冷凍庫で急冷し、感激とともに味わったものです。

マーケットプレイスのビール売場 撮影:板坂真季
長く日本のビールから遠ざかっていたからか、ひと口飲んだときには「まさに日本のキリン一番搾り!」と感激しました。
が、実は関係者から後に聞いたところによると、ミャンマー人向けに少し味を変えてあるそうです。確かに本家よりも苦味が少ない分、フルーティな風味が際立っているように感じます。
庶民の味方は「ドブロク」

富裕層の利用が多いスーパーマーケット、マーケットプレイス 撮影:板坂真季
ビールの価格は販売店によって異なりますが、あるスーパーの場合、ミャンマービール1,100チャット(約80円)、ミャンマープレミアム1,300チャット(約90円)、キリンイチバン1,700チャット(約120円)となっています。
日本の感覚では「安い」と感じるかもしれませんが、給与水準がASEANいち低いミャンマーでは、ビールは高級品とまでは言いませんがそれなりの価格です。
低所得層、特に冷蔵庫があまり普及していないような地方を中心に人気なのが地酒です。ヤシやシュロなどから作る酒のような度数が低い“ドブロク”的なものから、40度を越える米の蒸留酒まで様々。

地酒を手に仲間と歓談。カヤー州ディモーソーの市場内の食堂で 撮影:板坂真季
ヤシ酒の場合、度数は3~4%といったところでしょうか。質にもよりますが、1リットルで500チャット(約40円)くらいとかなり安く買うことができます。
実はミャンマーは周辺諸国に比べ、まだまだ飲酒率が低い国です。言い換えれば、今後の伸びが大きく期待できるということ。キリン以外の日本企業の皆様、ミャンマーへ進出はいかがでしょうか?
板坂 真季(いたざか まき)
中国やベトナムなどで計7年間、現地無料情報誌の編集を務め、2014年からヤンゴン在住。日本で出版される雑誌や書籍、ガイドブック、ウェブマガジンに加え、現地日本語情報誌などで編集や執筆、撮影に従事。取材コーディネートも行う。著作に『現地在住日本人ライターが案内するはじめてのミャンマー』(徳間書店)など。