
ブルックリンにあるNY産のマイクロブルワリー「Strong Rope Brewery」で手作りされ、新鮮な各種ビール (c) Kasumi Abe
メジャーブランドからクラフトまで百花繚乱
ビール大国、アメリカ。BBQやパーティーはもちろんのこと、MLB(メジャーリーグ)やNBA(バスケットボール)などスポーツ試合にはエクストララージ(!)の特大生ビールはかかせません!

マンハッタンにあるドイツ系のビアホールにて巨大ビールをいただく筆者(注:スポーツ試合のラージビールはここまで大きくありませんが…) (c) Kasumi Abe
米ビール市場のビッグ3と呼ばれる、バドワイザー、クアーズ、ミラーは不動の地位を誇っていますし、コロナ(メキシコ)やステラ・アルトワ(ベルギー)などを代表とする輸入ビールもとても人気です。
それらに加えて、ニューヨークではここ10年ほどで一気に浸透し、急成長しているビール市場があります。クラフトビールです。
とあるビール会社の代表者によると、「アメリカに存在する5,000社以上のビール会社のほとんどは、マイクロブルワリーと呼ばれる小規模なクラフトビール会社が占めると言われています」とのことです。
どのくらい勢いがあるのか具体的にお聞きしたところ、「販売数の上昇率は6.2%(2016年)。マイクロブルワリーの数は、10年前は州に1社、5年前はカウンティー(郡)に1社、3年前は市に1社、最近はストリート(通り)に1社あると言われるくらい、急増しています」
日本のビールは「特別な存在」
このように、アメリカでは、大手のメジャービールから最近誕生した少量生産のクラフトビールまで、ビール市場は百花繚乱です。
また一口にビールと言っても、日本ではラガービールが主流ですが、アメリカで飲めるものはラガー、ピルスナー、スタウト、IPAなどさまざまな種類で、ビール好きにはまさに天国と言えるでしょう!

さまざまな国産&輸入ビールがバラ売りされていて、6本10.99ドルで購入できるスーパーも (c) Kasumi Abe
いずれにせよ、ここ10年以上、アメリカで注目されているビールの一つが、日本の銘柄です。
日本のビールは、すべてのバーやスーパーに置かれているわけではないので、貴重な存在として米ビール業界に君臨しています。おしゃれなバーやこだわりのスーパー、そしてアメリカ人が週末の外食やデートなどで利用するジャパニーズレストランやIzakayaだけで飲める「特別なビール」としてとても人気です。
業界紙『ビアハンドブック』の中で、アジア系ビールブランドで首位を保っているサッポロをはじめ、アサヒ、キリンといった日本のビッグ3に加えて、この10年ほどで、そのほかの珍しい日本の地ビールも、ニューヨークで手に入るようになりました。

日系スーパーに行くと、さまざまな日本のビールがそろっている (c) Kasumi Abe
日系スーパーでは日本でも珍しい銘柄も
日系のスーパーに行けば、さまざまな日本のビールに出会えます。
2018年11月にオープンした、ブルックリンのジャパンビレッジにある日系スーパー「サンライズマート」を覗いてみました。

アメリカで特に認知度の高い日本のビールの一つ、サッポロビール (c) Kasumi Abe
米市場ですでにおなじみの、サッポロ(650ml、3.29ドル)、キリン(355ml、1.29ドル)、アサヒ(500ml、1.89ドル)はもちろんのこと、オリオンビール(350ml、1.69ドル)、フクロウのイラストでおなじみの各種常陸野ネストビール(331ml、5.99ドル)、武蔵野ビール、越後ビール、銀河高原ビール、川場ビール(330ml、4.79ドル)etc…と、おそらく日本でも珍しいとされているビールが、ここには勢ぞろいしています。(金額はいずれも税抜)
メジャーな国産&輸入ビールであれば、アメリカにある普通のスーパーで買えますが、日本のビール、特に珍しい銘柄の地ビールなら日系のスーパーへ。海外赴任や出張の際は、参考にしていただけたらうれしいです!
安部かすみ(あべ かすみ)
在外ジャーナリスト協会「Global Press」会員。Yahoo!ニュース個人オーサー。2002年ニューヨークに移住。2007年より在ニューヨーク出版社に勤務しシニアエディター職を経て、2014年に退職し独立。2018年初の著書『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ(旅のヒントBOOK)』(イカロス出版)を刊行。