世界各国のお買い物事情と、現地の日本商品を紹介する「世界の果てまでカッテミル」。今回はミャンマー在住の板坂真季さん。ミャンマーで日本製のオムツが人気になっている理由は?レポートしてもらいました!
「オムツ習慣」がないミャンマー

ヤンゴンのスーパーにあるオムツ売り場。こうした光景はごく最近のこと(撮影:板坂真季)
ヤンゴンで、スーパーの育児用品売り場へ行くとずらりと並ぶのは日本製オムツ。でも、こんな光景が見られるようになったのはここ数年のこと。もともとミャンマーには、オムツを使う習慣がありませんでした。
ミャンマーは男女ともに「ロンジー」と呼ばれる民族衣装を着るのですが、男性用ロンジーのボトム「パッソー」の古くなったものをオムツ代わりに赤ちゃんの下に敷いておき、おしっこをしたら取り替えるという方法が一般的でした。パッソーの多くはコットン製で、およそ2×1メートルの四角い布を筒状に縫い合わせたものです。

市場の片隅に寝かされた、ザルに入った赤ちゃん。からだの下にはパッソーを敷いている(撮影:板坂真季)
新生児は布でグルグル巻き
なぜオムツをしないのかお母さん方に聞いたところ、「常夏の国で湿度も高いのに、オムツをしてたらお尻があせもになっちゃってかわいそう」とのことでした。
しかしミャンマーでは生後1ヶ月ほどの間、新生児のからだ全体を腕も動かせないようにきつく布でグルグル巻きにする習慣があります。

グルグル巻きにされた新生児。(イーパーパーさん提供写真)
おしっこをすれば布を取り替えて、またミノムシ状に巻きなおします。グルグル巻きの理由は誰に聞いても「知らない。でも昔から新生児はグルグル巻きにするもの」という答えが返ってきます。
こちらの方がよほどあせもになると思うのですが……。
オムツ利用は「おでかけ」
現在、売り場の紙おむつの8割がたは日本製で、マミーポコ、メリーズといった見慣れたブランドが並びます。

ミャンマーで最もシェアが大きいのはユニチャームのマミーポコ(撮影:板坂真季)
価格は30個入りで11,000~22,000チャット(800~1,600円)ほど。ミャンマーで生産するメーカーもありますが、ほとんどはASEANの近隣諸国で生産したものの輸入。
庶民感覚からすればちょっと高めですから、使う人でも出かけるとき限定にしているようです。
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子育て感覚は「昭和の日本」?
ミャンマーは発展途上国にもかかわらず、女性でも結婚しない人や結婚しても子どもを生まない人が多い国として知られ、役所や学校などでは独身で仕事にまい進する女性をとても多く見かけます。
一方、結婚した女性は専業主婦になるのが、昔から好まれてもきました。
それだけに、男性が家庭内で家事や育児へ積極的に参加しているとはいえない状態です。
しかし、最近の若夫婦は共働きが多く、子どもをよそに預ける際や外出の際には紙オムツが便利だと周知されつつあり、都会を中心に使う人が増えてきています。
中でも日本製は、あせもになりにくいという点で圧倒的な人気を誇るのです。
板坂真季(いたざか まき)
中国やベトナムなどで計7年間、現地無料情報誌の編集を務め、2014年からヤンゴン在住。日本で出版される雑誌や書籍、ガイドブック、ウェブマガジンに加え、現地日本語情報誌などで編集や執筆、撮影に従事。取材コーディネートも行う。著作に『現地在住日本人ライターが案内するはじめてのミャンマー』(徳間書店)など。